夫婦の形をリアルに描いた話題作『1122(いいふうふ)』。
「公認不倫」というテーマで話題となった本作は、
単なる不倫漫画ではなく、結婚とは何か?夫婦の関係とは?を深く考えさせられる作品です。

物語の中心となるのは、結婚7年目の夫婦・相原一子と相原二也。
一見すると理想的な関係に見える2人ですが、
セックスレスという問題を抱えており、夫婦関係に微妙な溝が生じています。
そこで彼らが選んだのは、なんと「公認不倫」という選択でした──。
本記事では、そんな『1122』のあらすじ・ネタバレを
など、作品の考察を交えて詳しく解説していきます。
⚠️ この記事には『1122』のネタバレが含まれます。ご注意ください。
漫画『1122(いいふうふ)』とは?

『1122(いいふうふ)』は、渡辺ペコさんによる漫画作品で、2016年から2020年にかけて『月刊モーニングtwo』(講談社)で連載されました。
「結婚とは何か?」というテーマに真正面から切り込んだ本作は、「公認不倫」という新たな夫婦の形を描いた点で話題となり、2024年2月時点で累計販売部数146万部を突破しています。
作品情報
項目 | 詳細 |
---|---|
作品名 | 1122(いいふうふ) |
作者 | 渡辺ペコ |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | 月刊モーニングtwo |
レーベル | モーニングKC |
連載期間 | 2016年11月号 ~ 2020年7月号 |
巻数 | 全7巻 |
話数 | 全42話 |
『1122(いいふうふ)』の作品テーマとは?
本作が描くのは、結婚生活における「理想」と「現実」のギャップ。
「セックスレス」「夫婦の信頼」「不倫の境界線」など、現代の夫婦が直面するリアルな問題に焦点を当てています。
作者の渡辺ペコさんは、連載開始当初、「結婚制度そのものへの疑問をテーマにしたい」と考え、「不倫ではなく、夫婦の関係性を模索する物語にした」と語っています。
また、本作の連載中には「公認不倫」という言葉が独り歩きし、賛否両論を巻き起こしました。
特に、夫の不倫に対する批判と妻の女性向け風俗利用に対する賛同という、男女で異なる視点がSNS上で大きな話題となりました。
『1122』のあらすじ(ネタバレあり)

主要キャラクター
本作の中心となるのは、結婚7年目の夫婦・相原一子と相原二也。
しかし、この夫婦の関係は一筋縄ではいかず、様々な選択を迫られることになります。
相原 一子(いちこ)
本作の主人公。夫の二也と公認不倫の関係を築く。
女性向け風俗を利用するなど、夫とは異なる形で関係を持つ。
相原 二也(おとや)
一子の夫。夫婦関係の停滞を感じ、公認不倫という形で外の女性と関係を持つ。
次第に本気の恋に発展。
柏木 美月
二也の不倫相手。
二也にとって特別な存在となり、夫婦関係の均衡を崩すことになる。
池端 礼
一子が女性向け風俗で出会ったセラピスト。
単なる肉体的な関係以上に、一子にとって重要な存在に。
物語の展開と夫婦の関係
『1122』は、一子と二也の結婚生活の変化を軸に進行します。
一見仲の良い夫婦に見える二人ですが、セックスレスという問題を抱えており、夫婦関係に微妙な溝が生じています。
「公認不倫」という選択
このままでは関係が破綻すると考えた二人は、
「お互いに外で恋愛をすることを許可する=公認不倫」という選択をします。
しかし、
この選択が二人の関係を修復するどころか、より深刻な問題を引き起こしていくことに……。
二也の恋と一子の関係
💔 二也の「恋愛としての不倫」
- 二也は同僚の美月と関係を持つようになり、最初は遊びだったものの、次第に本気の恋へと発展。
- 彼は「妻とは違う新たな恋愛」に夢中になり、夫婦のバランスが崩れ始める。
💋 一子の「欲望としての関係」
- 一子は夫との関係とは異なり、女性向け風俗を利用。
- 彼女が求めたのは恋愛感情ではなく、「精神的な癒し」や「欲望の充足」だった。
- しかし、夫の二也が美月に本気になっていくことに対し、違和感を覚え始める。
このまま二人の関係はどうなってしまうのか?
次の章で、本作の伏線と考察を詳しく解説します。
『1122』の伏線と考察

『1122』は、単なる「不倫漫画」ではなく、結婚のリアルな問題を鋭く描いた作品です。
ここでは、本作の伏線やメッセージを考察し、夫婦関係の描写が持つ意味を掘り下げます。
『1122』が問いかける「いい夫婦」とは?
タイトルの『1122』は「いい夫婦」の語呂合わせですが、作中では、この言葉が持つ欺瞞や難しさが強調されています。
本作は、こうした疑問を読者に考えさせる構造になっています。
公認不倫のルールとその崩壊
物語の大きなテーマは、「夫婦関係を維持するために不倫を許可する」という設定です。
公認不倫のルール
しかし、このルールが徐々に破綻していく過程が、本作の大きな見どころとなります。
この展開を通じて、「夫婦の関係を守るためのルールが、逆に夫婦を壊すことになる」という皮肉が描かれています。
セックスレスは夫婦の終わりなのか?
本作では、セックスレスが「夫婦の崩壊の原因か、それとも結果か」というテーマが扱われています。
この対比によって、「夫婦関係の問題は、セックスの有無だけではなく、コミュニケーションや信頼の欠如によるものだ」というメッセージが伝えられています。
二也と美月、一子と礼の関係の意味
二也と美月の関係
- 二也は、美月との関係に「新しい恋愛のときめき」を求めた。
- しかし、最終的には「新しい関係もまた、時間とともに変化する」ことを思い知らされる。
一子と礼の関係
- 一子が女性向け風俗を利用する展開は、夫の不倫とは異なる形の関係性を示している。
- 恋愛感情ではなく、「心の安定や癒しを求めた結果の行動」という点がポイント。
このように、本作では夫婦のあり方は1つではないというテーマが貫かれています。
『1122』の最終回ネタバレ!結末の意味を解説

本作の結末は、「公認不倫」という関係を続けた末の離婚という選択です。
しかし、単なる夫婦の破綻ではなく、新しい関係性の構築を模索する終わり方になっています。
⚠️ ここから先は『1122』最終回のネタバレを含みます!ご注意ください。
最終話での展開(ネタバレあり)
一子と二也は離婚を決意
しかし、離婚後も二人の関係は続く
この結末は、「結婚という枠組み」にとらわれず、それぞれが自由に生きる選択をしたことを意味しています。
二也と一子、それぞれの選択
二也の選択
- 美月との関係は継続しない
→ 「恋愛のときめき」だけでは夫婦の代替にはならないことを痛感。
一子の選択
- 礼との関係も続けない
→ 恋愛やセックスではなく、「精神的な安定が重要」だったと気づく。
つまり、二人は不倫という選択肢をとったものの、最終的には結婚の枠を超えた新たな関係を築くことを選んだのです。
結婚の枠に囚われない生き方とは?
本作が伝えたメッセージは、「結婚=幸せの形ではない」ということ。
結婚を続けることだけが最適解ではなく、「別々の道を歩むことが、お互いにとって幸せな選択肢であることもある」という考えを提示しました。
また、本作のラストでは、「離婚=失敗ではない」という描写がされており、結婚生活が破綻することは「終わり」ではなく、新たな人生の始まりというポジティブなメッセージが込められています。
『1122』の評価と読者の反応

『1122』は、「公認不倫」というセンセーショナルなテーマを扱いながらも、単なるスキャンダラスな不倫漫画ではなく、結婚の本質に切り込んだリアルな作品として、多くの読者に衝撃を与えました。
本章では、読者の反応・評価を振り返りながら、本作の意義を考察します。
「公認不倫」に対する賛否
本作の最大の特徴は、「公認不倫」という設定でした。
これに対して、読者からは賛否両論の声が上がりました。
✅ 肯定的な意見
- 「不倫を単純な裏切りではなく、夫婦関係の選択肢の一つとして描いているのが興味深い」
- 「夫婦のリアルな問題に真正面から向き合っていて、考えさせられる」
- 「結婚がゴールではなく、続けることの難しさがリアル」
❌ 否定的な意見
- 「不倫を肯定するような内容に見えるのが嫌だった」
- 「公認とはいえ、結局どちらも相手を裏切っているように感じた」
- 「共感できる部分もあるが、受け入れがたい価値観だった」
このように、「結婚とは何か?」という価値観によって評価が大きく分かれる作品であったことが分かります。
SNSでの読者の反応
SNSでは、特に「男女の不倫の違い」に関する議論が多く見られました。
夫・二也の不倫に対する批判が圧倒的
- 「二也の不倫はズルい!」「結局本気になったらダメじゃん」といった声が多い。
- 夫の「本気の恋」は、妻を傷つける要因になったと見られている。
一子の女性向け風俗利用には好意的な意見が多い
- 「女性が買う側になるのは新しい視点」
- 「一子には幸せになってほしい」という声が目立つ。
特に、「男性の不倫は責められるのに、女性の風俗利用は応援される」という反応が象徴的で、「男女で不倫の受け止め方が違う」という点も、本作が投げかけた大きな問題提起となりました。
本作が描いた結婚のリアル
本作は、単に不倫を描くのではなく、「夫婦関係のリアルな変化」を描いていました。
このように、「結婚制度の固定観念を揺さぶる作品」として、多くの読者の共感を集めました。
まとめ|『1122』が問いかける「夫婦の形」とは?

『1122』は、夫婦関係の理想と現実、そして結婚制度の在り方を鋭く描いた作品です。
「公認不倫」というセンセーショナルなテーマを扱いながらも、単なる不倫ものではなく、夫婦とは何か?信頼とは何か?幸せとは何か?を問いかける内容が、多くの読者の共感と議論を呼びました。
本作が描いた3つのテーマ
1.「いい夫婦」とは、必ずしも結婚を続けることではない
- 夫婦関係は時間とともに変化する
- 形に縛られるのではなく、それぞれの幸せを追求することも選択肢
2.セックスレス・不倫・信頼関係のバランス
- 夫婦間のすれ違いは、性の問題だけではない
- 価値観や人生の優先順位がズレることで関係が変化する
3.「公認不倫」という選択とその末路
- 不倫を許容することで、夫婦関係は保たれるのか?
- 「本気の恋」と「欲望の関係」の違い
『1122』が読者に与えた衝撃
📌 SNSでは賛否両論が巻き起こった
- 二也の不倫 → 「結局、本気になったらダメじゃん!」と批判的な声多数
- 一子の風俗利用 → 「女性が買う側に回る新しい視点が面白い」と肯定的な意見も
📌 「夫婦の形に正解はない」と感じさせるラスト
- 離婚=失敗ではなく、それぞれの人生を尊重する選択
- 夫婦でなくても「特別な存在」として関わり続ける未来
『1122』はこんな人におすすめ
✅ 結婚や夫婦関係について考えたことがある人
✅ セックスレスや夫婦間の価値観のズレに悩んでいる人
✅ 不倫ものではなく、リアルな人間ドラマを求める人
✅ 「夫婦関係は結婚だけではない」という考えに共感する人
『1122』は、読む人によって受け取り方が変わる作品です。
「結婚とは何か?夫婦の幸せとは何か?」
この問いの答えは、人それぞれ違うもの。
あなたは、この作品の結末をどう感じましたか?
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FAQ(よくある質問)

『1122』に関するFAQ(よくある質問)をまとめました。
- Q『1122』は実話が元になっているの?
- A
いいえ、フィクションです。
しかし、作者・渡辺ペコさん自身の結婚観や、実際の夫婦関係の取材が元になっている部分もあります。
また、発言小町(読売新聞の掲示板)などのリアルな夫婦の悩みをリサーチして作られたエピソードもあるため、実話のようにリアルな描写が特徴です。
- Q一子と二也は、最終的に復縁しないの?
- A
復縁はしていません。
しかし、離婚後も完全に関係が切れるわけではなく、「特別な存在」としてお互いの人生に関わっていくことが示唆されています。
結婚の枠を超えた、新しい関係性を模索するという意味で、一般的な「離婚=終わり」という結末とは異なっています。
- Q「公認不倫」は現実にあり得る?
- A
一部の夫婦ではオープンマリッジ(開かれた結婚)の形を取ることもあります。
しかし、本作が描いたように、外での恋愛を認め合ったとしても感情が絡むことで破綻する可能性が高いのが現実です。
実際に、「公認不倫」や「セックスレス婚」を選択する夫婦もいますが、それを長期的に維持できるかは夫婦の関係性次第です。
- Qなぜ二也の不倫は批判され、一子の風俗利用は肯定的に受け止められたの?
- A
SNS上では、読者の受け止め方に大きな違いがありました。
- 二也の不倫 → 美月に本気になり、家庭を顧みなくなった
- 一子の風俗利用 → 恋愛ではなく、欲求の充足が目的だった
つまり、感情的に「本気になる不倫」は、裏切りと見なされやすいのに対し、「欲望の処理としての関係」は、比較的受け入れられやすいという違いがあったのです。
また、現実では女性の不倫は非難されやすいため、フィクションの中で「女性が買う側になる」展開が新鮮に映ったことも、支持された要因と考えられます。
- Q『1122』のタイトルには、どんな意味があるの?
- A
『1122』は、「いい夫婦」の語呂合わせが由来です。
しかし、作中では「いい夫婦とは何か?」を問い続ける物語になっています。また、結婚制度の固定観念に対する疑問を投げかける意味も含まれており、一子と二也の関係性を通じて、「いい夫婦とは、結婚という形に縛られることではない」ことが示されています。
- Q一子と二也の関係は、現代の夫婦像に当てはまるの?
- A
一部の現代夫婦の課題を象徴する関係です。
特に以下の点が、現代の夫婦問題とリンクしています。
- セックスレスの増加 → 「パートナーとしては仲が良いが、恋人としては冷めている」関係
- 結婚の継続が目的化する → 「結婚しているから、関係を維持しなければならない」という社会的プレッシャー
- 夫婦間の役割バランスの変化 → 「どちらも働いているが、家事負担のバランスが不均衡になりやすい」
こうした要素が、リアルな夫婦の課題として多くの読者に共感されたポイントでした。
- Q『1122』のラストはハッピーエンド?バッドエンド?
- A
どちらとも言えない、オープンエンド(開かれた結末)です。
「離婚」という結果だけ見れば、ハッピーエンドではないかもしれません。
しかし、一子と二也は、形に縛られず「自分たちなりの幸せ」を探す道を選んだとも言えます。また、結末が明確にハッピーともバッドとも言えないことで、
読者自身が「結婚とは何か?」「夫婦の幸せとは何か?」を考える余白が残されているのも、本作の特徴です。